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‘14年ささやき日記 「彼岸花」

2014(H26)年9月20日(土) 曇りのち晴れ

   タイトル 「彼岸花」

 周平は夏江の骨壷を強く抱きしめた。

 台風が近づいて、雨と風はますます烈しくなっている。山の中腹にある火葬場から、つづら折りの坂道を車はくだっていた。疲れたのか、ほっと安堵したのか、車中の誰もが沈黙して窓外を眺めている。それぞれの深い想いを心の中に描いているようだった。

 車が大きくカーブして、前の視界が不意に開け、川の土手が眼前に拡がった。土手には一面に深紅の曼殊沙華(彼岸花)が風に烈しく揺れている。周平はその花々に心を奪われていた。そのとき車が揺れ、彼の抱いた骨壷の内で、母の骨が意外に大きく鳴った。

 それは切なく、乾いた音だった。

 これは、私が最近書いた「母の潮汲み」という小説の結末である。そこに鮮やかに咲く深紅の彼岸花を配して、主人公、周平の抱く骨壷のなかの母の遺骨が「切なく、乾いた音」で鳴るのを描いた。

 今日は「彼岸入り」である。一週間前に彼岸花を探して土手を歩いたときは、見つけることができなかった。だが、いまは彼岸花がそこここにいっせいに咲き誇っている。

 村の道を散歩していると、田んぼの畦道や池の土手、畑のほとりに深紅の花を見ることができる。彼岸花はいつも時期をたがわず、秋分の前後に花を開く。

 彼岸花は別名、「死人花(しびとばな)・幽霊花(ゆうれいばな)」と呼ばれて、忌み嫌われることもある。が、逆に「赤い花・天上の花」として、めでたい兆しとされることもある。私はこの「彼岸花」が好きである。



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 1947年生まれの68歳で、
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 短歌創作を通じて、平和と民主主義をめざしています。
 住所は岡山県浅口市寄島町です。
 青い海と緑の山、青い空をもつ素敵な村です。
 名前は「千春」ですが、男性です。

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