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‘14年夢日記 「『チェルノブイリ・ヒロシマ』を読む」

2014(H26)年8月15日(金) 雨時々曇り

   タイトル 「『チェルノブイリ・ヒロシマ』を読む」

 これは、「民主文学」9月号の巻頭小説で、室崎和佳子の作品である。作品の最後に、作者紹介が載っているので、「民主文学」初登場の新人である。新人といっても、1948年生まれだから今年66歳だ。いわゆる団塊の世代である。民主文学会の札幌支部に所属しており、活発な創造・批評活動を展開している支部活動のなかで、有力な新人が生み出されたように思う。

 黒豚が道路に飛び出し、「運動会をしていたりする」とか、「地味な家屋にカラフルな塀が、最初はミスマッチにも見えた」とか、「はらわたが煮えくりかえった」という表現は、ありふれた言葉を使っていると思えたが、全体としては文章はたしかで、その力量がうかがえる作品である。

 2013年9月中旬、私(主人公)たち、つまり、女性3人と男性4人の一行7人は、チェルノブイリを訪ねた。それは、「チェルノブイリの子供を救おう会」の活動の一環であった。村の子どもたちに、セシウム137の排出促進剤である、ビタミネペクトを配るためである。

 この作品の重要な問題は、チェルノブイリとヒロシマがどう結びつくか、それが文学としてどのように描かれるかということである。私(評者)もそこに大きな関心をもって読み進んでいった。しかし、作者はその問題をモチーフ・テーマとしていたためか、その二つの街を巧みに関連づけて、読者にチェルノブイリの問題を日本人の問題として考えさせることに成功している。

 とかく、チェルノブイリというと、外国のこと、ロシアのこととして、関心が薄いという傾向がある。私も例にもれず、チェルノブイリというと、どこか他人事(ひとごと)、他所事(よそごと)という、意識が少なからずある。そのチエルのブイリを、ぐっと引き寄せ、日本人、わが事の問題として描き出した点に、この作品の大きな意味がある。

 主人公には、父が違う妹弟がいるが、その弟である誠は、50歳で脳梗塞の発作を起こし、翌年2度目の発作を起こし、自立した生活が困難になっている。また、妹は子宮体ガンに罹り、手術をして一時回復したように見えたが、その後全身に転移して、5カ月前に亡くなった。

 「姉ちゃんだけだね、元気なの。私も誠も、こんなになってしまって」と、妹は繰り返し私に言っていた。実は、ここで、チェルノブイリとヒロシマが結びつくのである。つまり、義父は被爆者であり、彼女たちは被爆2世なのだ。義父は勤め先の造船所へ行こうとして、下宿の部屋から玄関に向かっていた。そのとき、被爆したのである。

 ただ、この作品の中で、「壊れた下宿の下敷きになって身動きできなかった。下敷きになったから、ピカの光が当たらなかったんだと思う」という表現があるが、これはほうとうに正しいのだろうか。家が壊れるのが先で、それからピカの光がくるものだろうか。光の方が先で、それから家が崩れるのではないのか。これは大きな疑問であるし、作者の認識が違っているように思えてならない。

 それはさておき、被爆2世で妹はガンになった。そして死んだ。が、医学的に妹のガンが被爆2世によるものであるかどうかは、解明されないけれども、その可能性は否定できない。それによって、チェルノブイリを、この作品はぐっと読者の側に引き寄せているのである。「フクシマ」のことは、この作品で触れられていないけれども、放射能の恐ろしさをこの作品は告発している。

 それは、チェルノブイリの実態を克明に、この作品は描いているので、その恐ろしさがリアルに伝わってくる。リアルすぎて私は、その模様をふたたびここで再現することをしなかった。しかし、チェルノブイリは、いまもなお苦しみの渦中にある。放射能の時間的・空間的・社会的な広がりと深さ、その恐ろしさを文学的に表現した作品である。



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No title

私の被爆二世無料健康診断はデーターとして
どのように加工されてるんだろうか?

タダだから毎年受けてるけど、分類方法に拠っては
逆になる事も在るのは皆さんご存知ですね。

妹さんと同じく、父は癌で逝きました。
今度、本を読んで見ます。
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 1947年生まれの68歳で、
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