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‘14年夢日記 「『旭爪あかねの本』を読む」

2014(H26)年7月29日(火) 晴れ

   タイトル 「『旭爪あかねの本』を読む」

 旭爪あかねの「歩き直してきた道」という本は、岡山県立図書館にリクエストして、購入してもらった本である。私は本というものをほとんど買わない。それは経済的理由によるものだが、図書館でだいたい間に合う。無いものはリクエストして取り寄せて貰っている。だから、わが家には比較的大きい本棚がふたつあるだけだ。

 この本、「歩き直してきた道」というのは、夢中になって読んだ。時の経つのも忘れるくらい興趣のある本だった。ただ、これが彼女の体験にもとづくエッセイであるだけに、切実な内容となっている。決して安易には読めない重たいテーマに挑戦しており、彼女の人間性が余すところなく表出している。

 彼女は20代のほとんど10年間を、「ひきこもって」生きてきた。その原因を彼女に言わせれば、少女期から思春期まで「いい子を演技」してきたことによる破綻だという位置づけをしている。「いい子を演技」するということはどういうことか。それは人の評価を必要以上に気にするということである。

 たしかに、差別と選別の教育がなされてきたという背景があるが、しかし誰でもが「ひきこもり」になるわけじゃない。それは彼女自身の持っている性質と性格とに深く関わっている。が、それにしても、いまの日本で70万人もの人たちがひきこもっているという現実は、ひとり個々人の性質や性格だけに原因を求めることはできない。

 彼女はこの本を書くにあたって、「嘘は書かない」ということを心に誓って書き始めたとある。それだけに、彼女の48年の人生が赤裸々に綴られている。アルバイトを転々と変わったことや就職したものの職場に行けなくなったことなどが述べられている。対面恐怖症のようなことがあり、大学院を出た女性が新聞配達しなければならないというのは、いかにも痛々しい。

 ひきこもって酒を飲むというのも、読者の胸をつまらせる。しかし、彼女はひきこもりから半歩、一歩と前へ踏み出そうと小説を書くようになる。ある文学団体の創作講座に通い、文学仲間と同人誌を出すようにもなる。そういう中で、他者との交わりも次第にできてくる。しかし、それで対人関係がなんのこだわりもなく出来るようになったかというとそうではない。

 そんな中で、小説の新聞連載の話が持ち上がる。新聞に自分の小説が発表できるという想いと同時に、それ以上に「お金を手にすることができる(経済的な自立)」ということが、彼女の心を占めることになって、決断するのである。この作品は「稲の旋律」というもので、ひきこもりの若い女性が、稲づくり、農業体験を通じて、前に一歩踏み出すという物語である。

 この小説は、賛否両論があったが、多くの読者を獲得した。が、彼女は一日の原稿を書き終えるとぐったりとして、酒を飲んで寝るという状態だった。「稲の旋律」が本になり、しばらくすると、映画づくりの話が持ち上がった。紆余曲折はあったが、「アンダンテ~稲の旋律~」という映画が完成した。そして、自主上映にも関わらず22万人もの人が観賞したのである。

 が、彼女はそれで、対人関係や人の評価を気にすることがなくなったわけではなかった。彼女は小説を書き始めてすでに6冊もの本を刊行しているが、まだ、ひきこもりの後遺症を引きずっている。まだ、「節酒や休肝」を心がけなければならないという。が、彼女は、本の最後にこのように書いて締めくくっている。

 「ひとりひとりの小さな格闘と、結び合わされた大きな格闘とが、生きるに値する世界という希望の果実を実らせることを信じます」

 私は、その彼女の誓いに対して、心からその願いが叶うように祈らずにはおられない。これはそんな本である。



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 1947年生まれの68歳で、
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