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‘14年夢日記 「『うた、ひとひら』を読む」

2014(H26)年7月10日(木) 曇りのち雨

   タイトル 「『うた、ひとひら』を読む」

 『うた、ひとひら』を著したのは、黛まどかである。彼女の俳句や詩にたいする慧眼(けいがん)には、眼を見張るものがあるが、私が驚いたのは、それだけではない。1999年、北スペイン・サンティアゴ巡礼道約800kmを徒歩で踏破したことである。また、2001~02年には、四季にわたり5回訪韓し釜山からソウルまでの道のり約500kmを踏破したという。彼女のこの行動力の源泉はどこにあるのか、不思議でならない。

 身一つとなりて薫風ありしかな   佐藤勲

 岩手県野田村に住む七十代の被災者の俳句と言葉である。「思いも寄らない大津波に遭い、家と半生で積み上げた形あるものを悉(ことごと)く流失した。呆然自失の日々から覚めた時かけがえの無い家族がいて、今年も生まれたばかりの薫風が吹いていた。」
 薫風に自らの命のありどころを確認した作者である。悔しいとか虚しいなどの生(なま)の思いを一切述べず、「薫風ありしかな」と自然を称(たた)え言い切ることで、作者の心は浄化され昇華を果たしている。

 パリー祭屋根裏部屋に月さして   黛まどか

 屋根裏部屋というとどこかロマンティックな響きがあるが、実は昔は女中部屋だった。頭が天井につきそうな狭い部屋……冬は寒く、夏は暑い。しかし当時の働く女性たちにとって、一日の労働を終え、ほっと一息つける安らぎの場でもあったのだ。夜になれば、天窓から月明かりが差し込み、部屋は月光に抱かれただろう。フランスでは今日でもデモやストが頻繁に行われる。市民が闘うことで国を作り上げていく伝統。フランス人には今も革命時の精神が受け継がれているらしい。

 万緑の中や吾子の歯生え初むる   中村草田男

 愛らしい乳歯が生えはじめた我が子。この頃の子供の成長は目覚ましい。またその成長の一つ一つが親にとっては無上の喜びなのだ。大自然の緑と小さな乳歯の白。それは色の対比に留まらず、生命の呼応でもある。単なる「吾子俳句」ではなく、吾子を通して万物の命を讃歌しているところが、この句が広く愛される所以だ。

 君待つと わが恋をれば わが屋戸の
            すだれ動かし 秋の風吹く
               額田王(万葉集巻四―四八八)

 風をだに 恋ふるは羨し 風をだに
            来むとし待たば 何か嘆かむ
               鏡王女(万葉集巻四―四八九)

 ふたつの歌は、天智天皇を巡る姉妹の歌である。「あなたが訪ねてきたと思ったのに、簾(すだれ)を動かしたのは、秋風だったのね……」と詠う妹に対し、姉鏡王女は「私のところにはもう風さえも訪ねては来ない……」と嘆く。対照的な生涯を生きた姉妹なのだが、男性が圧倒的に優位だった時代に、どちらも自らの運命をしなやかに諾(うべな)い、懸命に生き抜いたことに違いはない。

 『うた、ひとひら』は、私を俳句の世界へいざない、俳句の味わい方なども教えられた。まだ、紹介したい詩や短歌もたくさんあるが、割愛せざるを得ない。彼女は数々の著書を書いているので、また機会をみて存分に触れてみたい俳人のひとりである。



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 1947年生まれの68歳で、
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 短歌創作を通じて、平和と民主主義をめざしています。
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 名前は「千春」ですが、男性です。

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