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‘14年夢日記 「『望月所長へのメール』を読む」

2014(H26)年5月14日(水) 晴れのち曇り

    タイトル 「『望月所長へのメール』を読む」

 この作品は、第11回「民主文学新人賞」の佳作で、作者は石垣あきらである。彼は1951年生まれなので、今年63歳になる文学会準会員だ。

 「望月所長へのメール」は、ケアマネジャーの前田から望月への呼び出しによって、ひとつの事件が明るみになる。前田が言うには、望月の事務所に所属するヘルパーに、利用者の藤倉が3万円盗まれたということだった。これが事の発端である。

 12月11日の水曜日になくなったということなので、その日の担当は美紀であった。彼女は24歳でいつも仕事中は笑顔を絶やさない、可愛らしいヘルパーである。しかし、こういう疑いをかけられ、おおやけになると、ヘルパーの事業所は窮地に立たされる。

 そこで望月は、右腕として支えてもらっている川上と一緒に美紀に会うことになった。そして、藤倉が金を盗まれたと言っていることを告げた。それで何か心当たりはないかと訊いてみたが、美紀は「私は、そんなことしていません」と、否定した。

 そして美紀は、「藤倉の入浴介助から外して下さい、いつもあの人は私を困らせるんです」と言った。「美紀ちゃん、どういうこと、話してもらえないかしら」と望月は尋ねたが、「私の口からは言えません。あの人に聞いて下さい」。美紀の言葉である。

 そこで、望月は前田とともに、藤倉のところを訪ねた。藤倉に「担当者に何度も確認したが、心当たりないと言っている」と告げると、彼は激昂し、「違う、違う。そんなことを言うんだったら警察に訴える」と、言うのだった。

 「藤倉さん、分かりました。望月さんのところでもっと調べてもらいます。ですから、警察への通報は少し待ってもらえませんか」と前田は言って、望月とともに藤倉の家を辞した。

 そして再度、望月と川上は美紀と会うことにした。が、ここでもことの真相は分からなかった。美紀は別れ際に、「望月所長にメールを送ってもいいですか」と美紀はいい、彼女は走って帰っていった。

 美紀からのメールは深夜に届いた。それによって、謎が解け、真相が明らかになった。「正直に書きます。私は、藤倉様から3万円もらってしまったんです。12月4日、藤倉さんのところにサービスに入ると、美紀様へ、という封筒に宛名が書いてあったので、仕事のメモかと思い、そのままバッグに入れてしまったんです」

 「事務所に着いてから封筒を開けたら3万円入っていました。すぐに返しに行ったら、もうそれはアンタのものだから、いらないと言ったんです。私は玄関に封筒を投げるようにして帰ってきました」

 「11日にまたあの人のところへサービスに入りました。そして帰り際、あの人が謝りだして、お詫びの印だと言って、封筒を渡そうとしたんです。そして、私はポケットに封筒を入れてしまいました」

 「次の週にサービスに入ったら、短パンの中に手を入れようとしたんです。私は嫌だったので、極端に拒否の態度をとって、あの人の身体を撥ね除けてしまったんです。そして、次の日に、金を盗まれたと言い出したんです」

 このように、メールによって、事件の謎が解け、真相が明らかになった、という話である。小説としてメールによって、ことの真相を明らかにすることがいいのかどうか、という疑問は残るが、利用者のセクハラの思惑にはまってしまった、美紀の情況が詳しく語られている。

 ヘルパーの複雑で、困難な仕事の内容の断面を切り取った作品として、評価されてもいいだろう。もちろん、美紀はセクハラをもくろむ利用者に、毅然と対処をしなければならない。しかし、過ちを犯してしまったのである。

 小説は、道徳や倫理を説くのが目的ではない。それにそむく人間を描くことも、小説の仕事である。そうすることで、その背景を描き、読者に問題提起をし、読者に考えることを求めるのである。

 望月は、明日から出直すんだ。美紀も、うちの事業所も。と、心を引き締めて、希望への光を見い出そうとしている姿を描いて話を終えている。



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 1947年生まれの68歳で、
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