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‘14年夢日記 「『送別会』を読む」

2014(H26)年4月17日(木) 晴れ

     タイトル 「『送別会』を読む」

 「民主文学」5月号は、新鋭短編特集と銘打って若手5人の作品が掲載されている。私は5人のうち3人の作品は読んだことがあるが、あとの2人は初めてである。随時、この5編の紹介と批評をしてゆきたいと思っている。まず、瀬崎静弥の「送別会」を取り上げたい。

 この作品は、民営化されたJRがモデルとなっていて、この職場の組合は複雑で4つの労働組合が存在する。第一組合というのは、労使協調路線をとるUという組合である。

 Uという組合は、他の組合を敵視し、「彼らは会社をつぶそうと企てる恐ろしい人間の集まり」であるとし、彼らと「二人きりにならない、仕事以外の会話はしない、親しくならない」ようにとの指示が出されている。

 この作品の主人公は、22歳の杉崎豪太である。豪太はU組合に所属しているが、新人研修を受けているとき、食堂に集められて酒を飲まされ、U組合に全員加盟させられた。したがって、組合のことは何も知らない。

 ある日、全日本建設交運一般労働組合(建交労)の沢柳と一緒に乗務することになった。豪太は最初、建交労の沢柳を警戒していた。沢柳は運転手で、豪太は車掌である。

 その時は冬で、会社からは、「見苦しいのでチョッキを着てはいけない」という「御触れ書き」が出ていた。他の組合の人たちは、制服の下に頑固にチョッキを身につけていたので、最初、豪太は軽蔑していた。

 沢柳もチョッキを着ている。豪太は寒いと思ったが、会社がだめと言うなら仕方ないと思っていた。沢柳は、「仕方なくないさ。豪太も着たらいいのさ」という。「どうして実情に合わないことをやらせるか」という彼の言葉にもっともだと思う。

 それで、沢柳と当局とのやりとりがあって、三日もたたず、チョッキ禁止令は撤廃された。そして、数年たち、沢柳が定年を迎えて退職してゆく日が迫ってきていた。沢柳はしみじみと言うのだった。「おれはたったひとりで辞めていくんだよな。寂しいよなぁ」

 以前は、会社主催で送別会が行われていたが、いまは行われなくなった。そこで、豪太は友人の純弥と相談して、沢柳の「送別会」を計画し、U組合28名、国労4名、T労3名、そして建交労OB3名の38名が集まって、「沢柳昭さん送別会」を成功させた。

 が、それが当局にばれて、純弥は配転させられ、助役などは、豪太と関わるな、と若い職員に話しているとのことだ。しかし、豪太は、そんな差別やいじめに抗して生きてゆくことになるのだろうか、と自問しながら、たぶん沢柳のような生き方をしてゆくことになるのだろう、という予感をさせて、この物語は終わっている。

 民営化されたJRの厳しい職場、そして複雑な労働組合のなかで、まだ若い豪太がどう生きてゆくのか、がテーマとなっている。そして、この作品は、そういう職場環境の中で、差別やいじめに抗して生きてゆこうとする豪太の人間としての成長、そして人間形象に挑戦したものである。今後の作者の健筆を祈りたい。



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 1947年生まれの68歳で、
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 短歌創作を通じて、平和と民主主義をめざしています。
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