‘14年夢日記 「忘れ得ぬ人(1)」

2014(H26)年3月3日(月) 曇りのち晴れ

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     タイトル 「忘れ得ぬ人(1)」

 「忘れ得ぬ人」は、十指に余るほどもいるが、それらの人たちについて、除々に触れてゆきたいと思う。真っ先に思い浮かぶのは、詩人であり歌人でもあった友人の「中田しづ」である。彼女は鋭い感性で詩を創り、短歌を詠んでいた。まず彼女の詩を紹介してみたい。

 十一月

 塞いだ空の下
 眠り始めた森がある丘がある
 イタドリの群生に覆われた小道がある
 冬への身支度は整ったか
 さびれた漁村に暮らす人々よ

 堅い梅のつぼみを
 春の拳が叩くまで
 私もこの村で暮らさねばならない
 友を失い
 たった一人の息子と離れ
 肉親と引き裂かれても
 容赦なく
 天からみぞれは落ちてくる

 水色の夢をつめて
 今日もアパートの一部屋に灯をともした
 冷たい箸を鳴らし
 白いお鍋に向かうひとりの夕餉
 背に負ぶさってくる
 冬の気配は
 まるで幼い日のあの子のようだ

 この詩は彼女の才能の片鱗をうかがうことができるが、代表作でもないし、彼女の多くの詩のなかで選ぶとすれば、もっと他に優れた詩があるはずである。というのは、彼女の詩集を失っていて、わずかにこの一編の詩が私の手元にあるだけだ。

 彼女は小さな漁村の小さな酒場のママをしていた。ママといっても、他に従業員はひとりもいなくて、彼女がすべて店の切り盛りをしていた。たったひとりで、漁師たちやコンビナートの出稼ぎ労働者たちを相手に、徳利を傾けていたのである。

 この詩に出てくる「友を失い」というのは、あるいは私かも知れない。私も時々、この酒場に通っていたのである。通ううちに親密になり、親しい友人になった。そこで、詩や文学の話を語りあったりした。が、私は彼女に逆らって、故郷へと帰ってきたのである。この詩は彼女の40歳前後の作品であるが、どこか哀愁がただよってはいないだろうか。

 アパートの一部屋に灯をともし、冷たい箸を鳴らし、ひとりで白い鍋に向かう夕餉――アパートの灯は蛍光灯ではなく、くすんだ橙色をした裸電球である。その下で女がひとり淋しく鍋をつついている。彼女の痛切な哀しみがこの詩にはやどっている。

 今私は、この彼女を捜しているけれど、たどりつけないでいる。水島の空の下に住んでいるらしいが、彼女の消息は不明である。逢って珈琲でも飲みたいと思うけれど、それは叶いそうにない。私もまた切ない思いでいる。



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